ひげっちが好むものごと。

詩歌とボドゲを中心に書きたいことを書きます。

歌集に関わる諸々の御礼。

こんばんは、ひげっちです。

 

私の五行歌集『だらしのないぬくもり』が予想以上に多くの方に読んでいただけているようで、嬉しい限りです。

 

毎日のように、お祝いや感想が届きます。幸せすぎてどうにかなってしまいそうです。

 

いただいたメール、お手紙、LINE、Amazonのレビュー等、すべて舐め取るようにじっくりと読ませていただいてます。メールやLINEはすぐにお返事するようにしていますが、お手紙は筆不精のため、なかなかお返事が出来なくてすみません。この場を借りて、お詫びと御礼を申し上げます。

 

さて、今週末には「俺の!五行歌会!!」の開催や、歌集についての読売新聞(神奈川版)の取材も控えており、より一層、『だらしのないぬくもり』を宣伝していければと思っております。

 

今後とも歌集をどうぞよろしくお願い申し上げます!

反響、本当にありがとうございました。

 

 

五行歌集 だらしのないぬくもり (そらまめ文庫)

五行歌集 だらしのないぬくもり (そらまめ文庫)

 

 

五行歌集『だらしのないぬくもり』の予約ができるようになりました!

こんばんは、ひげっちです。

先ほど、出版社の方から嬉しい知らせがありました。

来週末の発売日に先駆けて、私の初五行歌集『だらしのないぬくもり』が

Amazonさんで予約できるようになりました!

 

五行歌集 だらしのないぬくもり (そらまめ文庫)

五行歌集 だらしのないぬくもり (そらまめ文庫)

 

 

ここまで、あっという間なようで結構長かったです。

 

 「歌集を出します」と宣言したのは2018年6月16日のAQ五行歌会の2次会だったと記憶していますが、「歌集を出したい」と思い始めたのはもういつだったか忘れてしまいました。10年くらい前に母の五行歌集の編集を手伝ったときには、すでにうっすら「自分もいつか歌集を出したい」と思っていたような気がします。

 

 チコちゃんに叱られまくるくらい、ボーッと生きてきた私ですが、「歌集を出す」と宣言してからのこの9ヶ月くらいは濃密に自分と向き合う、しんどくも楽しい時間でした。自分が世の中に何を問いたいのか、この本をどういう人に届けたいのか、悩んだ時期もありましたが、「歌集を出したい」と思った自分の直感を信じて、自分に嘘だけはつかないようにと決めて、歌集づくりに取り組んできました。

 

 嬉しくて初めて読んだ時悶絶するほど喜んでしまった跋文を書いてくださった草壁焔太先生をはじめ、10年以上前から五行歌をやっている母・紫かたばみや、今回表紙の黒猫の絵を描いてくれた幼稚園からの幼馴染みで画家をやっている吉澤敬二さんや、著者近影のイラストを描いてくれた大学時代の友達や、素敵な装丁をしてくださった井椎しづくさん(大学の大先輩でもあります)など、多くの人に背中を押していただいて、ここまで漕ぎ着けたと思っています。

 

一人でも多くの人に届いたら嬉しいです。

 

どうぞよろしくお願いします!

 

 

雑誌『五行歌』2019年1月号 お気に入り五行歌

こんにちは。ひげっちです。

五行歌』2019年1月号のお気に入りの五行歌を紹介させていただきます。

1月号は本当に良いお歌が多く、

取り上げたいお歌も多くなってしまいました。

 

 

はげ隠しのボウズですか?
不登校だったガキがいう
そこまでに到達したかと
喜んでやるよ!
図星だし

 

からし
9p.

 

 ぶっきらぼうな物言いが小気味よく、痛快。おそらくは息子さんとのやりとりだと思われるが、憎たらしくも愛おしい、我が子との関係性が伝わってきて、温かい気持ちになった。「不登校」という言葉が特段強調されず、さらりと使われているのにも惹かれた。

 

 

息があるうちは
収集できません
ダンボールの仔猫
二度目の電話で
受け付けられる

 

中島さなぎ
14p.

 

 感傷的にならず、淡々と事実のみを述べた、後ろ二行が秀逸。こういう書き方のほうが、かえって鮮烈な余韻を残せるという見本のよう。作者自身の思い入れや感情が述べられていない点も効果的だと思う。残酷な歌であるが、その残酷さに、読者がものを思ったり考えたりするためのちょうどいい余白がある。同じ光景を見たとしても、なかなかこうは書けない。作者の筆力のなせる技だと思う。

 

役満
テンパれば
タバコに3本
火をつけてた
ちっちぇ~男よ

 

よしだ野々
27p.

 

 麻雀好きとしては見逃せないお歌だった。知らない方のために説明すると、役満とは麻雀の中で一番点数が高くて、一番凄い手役のことです。役満にも色々種類があるので、どんな役満をテンパったのかが気になるところ。「アガった」とは書いてないので、テンパイどまりだったのかな?、テンパイしてからタバコ3本吸う暇があるんだから、割と早い巡目でテンパったのかな?、などと色々妄想が膨らんでしまう。

 

 

十二億年この方
雌雄(めお)未だ分かれざる時への郷愁を
未来に投射して
己が分身との合一を希い
恋う心

 

一歳
35p.

 

 作者の歌を前にすると、いつも自分の不勉強さを恥じたくなるが、書かれている内容から想像するに、十二億年前というのは生物がまだ雌雄同体だった頃なのだろう。その時への郷愁という表現も、三行目の「未来に投射」という表現もいい。恋心を歌った歌で、これほどのスケールのお歌はなかなかお目にかかれない。感服するしかない恋歌。

 

 

支配欲は
すぐ伸びる爪のよう
時折
魔女の手を
見かける

 

水源 純
88p.

 

 「支配欲」と「すぐ伸びる爪」の共通点は、「知らない間に生長している」「伸びすぎると相手を傷付けてしまう」といったところだろうか。想像になってしまうが、四行目の「魔女」という言葉は、爪の伸びすぎた手のビジュアルをイメージして欲しくて使っただけで、支配欲に取り憑かれる可能性について、男女問わずに警鐘を鳴らしているお歌だと考える。もう一つが、作者ご自身のことを念頭に置いて書かれたお歌である可能性だ。爪が伸びているのを一番気付きやすいのは自分自身だが、はてさて。今度作者ご本人にお会いしたときに聞いてみたい。

 

 

待ち合わせは
夫であっても
嬉しい
照れた顔も
新鮮だ

 

水野美智子
88p.

 

 純粋に羨ましい。こういう夫婦関係は素晴らしいと思う。二行目の「夫であっても」が、男性としてはちょっと引っかかる気もする言い方だが、全体から滲み出るラブラブ夫婦っぷりの前では、それも些細なこと。「ごちそうさまでした」と手を合わせたくなるお歌だ。

 

 

手の届く範囲に
愛はなかったから
自由を選んだ
仕方なくとも
人生は続く

 

金沢詩乃
116p.

 

 孤独や寂しさといったシビアな現状認識と、それでも前を向こうとする決意を感じさせるお歌の多い、作者の作風の大ファンであるが、このお歌にも痺れた。自由を選んだ人生であれば、かつては届かなかった愛にも手が届く日が来るかもしれない。もちろんそんな日は来ない可能性だってあるが、かすかな期待を抱くのは勝手だし、その方が心の健康のためにも良いような気がする。少なくとも私は最近そう思うようにしている。

 

 

消しゴムを
さいごまで使い切った
記憶がない
のに
捨てた覚えもない

 

芳川未朋
155p.

 

 言われてみれば確かに、というお歌。私の筆箱には、かれこれ15年くらい前から使っている消しゴムが入っているが、一向に使い切る気配がない。今はそもそもパソコンやスマホが普及して鉛筆やシャーペンで文字を書く機会が減っているせいもあるだろうが、思い返してみれば、学生時代から消しゴムが全部カスになって消えた瞬間というのは、見たことがないように思う。書いててちょっと都市伝説みたいで怖くなってきた。

 

 

薬剤師が
気の毒そうに
小声で薬の説明をする
もっと事務的で
あってくれたほうがいい

 

萌子
176p.

 

 私も持病で月に1度の病院&薬局通いが欠かせない人間だが、昔はもっと無機質な感じがした薬剤師が、数年ぐらい前からやたらあれこれ親身に聞いてくれるようなになった印象がある。「かかりつけ薬剤師」だか何だか知らないが、このお歌のように、人間味を前面に押し出すよりも、薬の効能と副作用等について淡々と説明してくれた方が、その薬剤師のことを頼もしく感じられると思う。

 

 

私はうれしいよ
他人には
言えない
嫌なことを
私にだけは言ってくれて

 

石村比抄子
190p.

 

 話し相手に嫌なこと、ネガティブなことを話されるのは、できれば遠慮したいと常々思っているが、相手が心を許している大切な人間であれば話は別ということだろう。よくよく考えてみれば、私たちは良いことよりも、嫌なことを話すときのほうが慎重に相手を選んでいるのかもしれない。ときに「ここだけの話」などという前置きを付けながら。作者の繊細な感性が光るお歌だと思う。
 

 

にんげんの
ほんとうの
在り方を
ほんきで考えないと
みんなあぶない

 

鳥山晃雄
206p.

 

 「人間の在り方」という大きなテーマについて、真っ向から警鐘を鳴らしている。確かに、現代は子供も大人も高齢者もそれぞれに危うさを抱えている時代だと思う。肌感覚として、テクノロジーの進歩が人間の嫌な面・マイナス面を拡張してしまうことが多く、また、それがよく目に付くようになっているのが、現代という時代のように感じる。このお歌に書かれているように、今一度、人間というものの在り方について想いを巡らせてみるのは、大切なことだと思う。

 

 

うるさーい
たまには自分で考えろー
何でも屋さんかっ
私はお母さんかっ
あ、お母さんじゃん

 

田渕みさこ
212p.

 

 育児のストレスをストレートに吐露していて好感が持てる。五行目のセルフつっこみも効いている。キレるだけでは終わらず、最後にユーモアを交えて終わるところが楽しい。テンポがよく、五行なのに、何となく4コマ漫画のような構成になっているところがいい。

 

 

落ちるスベる上等!
受からないわけがない
落ちたら
学校が見る目がない
謎の自信

 

水源カエデ
264p.

 

 受験シーズンなので、受験生を応援する意味でも、受験生代表として作者のお歌をひかせてもらった。受験生の鑑のようなメンタリティをお持ちの作者には感嘆するしかない。受験は学生にとっては一大イベントなので、ついつい人生の一大事として捉えてしまいがちだが、テストの点数で悪かったからといって、その人の人間性までが否定されるということは断じてない。ほんとうに大切なことは、試験では測れない。そういう大事なことを、作者は既に感覚的に理解している点が頼もしい。

 

 

横に眠る
男を愛した
たしかに
殺したくなる
なぜだろう

 

山本富美子
267p.

 

 ちょっと演歌の『天城越え』を連想した。横に眠る男、とは道ならぬ恋の相手なのだろうか。それとも旦那さんなのだろうか。どちらにせよ、過剰な愛情は殺意に変わるものなのだろうか。そこまでの情念を異性に対して抱いたことのない身としては、ある種のフィクションのように、ドキドキしながら読ませていただいた。

 

 

見えない半分は
求めない
この
半分だけを
丸くしていこう

 

山碧木 星
286p.

 

 味わい深いお歌。人間は誰しもが裏表がある。その裏面ばかりを気にして、「あの人はウラがある」とか言ってしまいがちだ。だが、裏面とは自分の本性であり、そこを矯正しようとすることはなかなかにエネルギーがいるものだし、不自然な行為であるとも言える。それよりも、相手に見える面だけを綺麗に保とうとする作者の姿勢に大いに共感した。「丸くしていこう」という表現もいい。

 

 

淡雪が
あるのなら
淡恋もアルだろう
人に触れる前に
消えてしまうような

 

漂 彦龍
294p.

 

 ばっちり決まっているお歌。相手に気持ちを伝える前に、消えてしまったような儚い恋心を作者もきっとお持ちだったのだろう。「純愛」というほど輪郭がくっきりしてないけど、面と向かって伝えるほどでもない、かすかな相手への好意を確かに私も経験したことがあるように思う。「淡恋」という言葉をぜひ広辞苑に登録して欲しい。

 

 

折坂悠太について

ひげっちは、ひとりの時間には暇さえあれば音楽を聴いている人間ですが、

最近のお気に入りの一人が折坂悠太さんです。

 

orisakayuta.jp

 

ホームページによれば、折坂さんは、

  • 平成元年、鳥取生まれのシンガーソングライター
  • 幼少期をロシアやイランで過ごした
  • 2013年よりギター弾き語りで活動を開始

といったプロフィールの持ち主です。

 

百聞は一聴に如かず。まずは私が最初に聴いた折坂さんの曲をどうぞ。

 


折坂悠太 - 道(MV)

 

折坂さんの魅力はなんと言ってもその声だと思います。

朴訥としていて力強く、どこか懐かしい、不思議な温かみのある声質です。

 

最初、このMVに出ている俳優さんが折坂悠太さんご本人だと勘違いして、

「曲も良いけど、本人も役者さんみたいなルックスだなあ」

と勝手に感心してました。この俳優さんは徳永桜介さんという方だそうです。

 

続いては、最新のアルバムからの一曲をどうぞ。

 


折坂悠太 - さびしさ (Official Music Video)

 

この曲は最近毎日と言って良いほど聴いています。

サビの最後の部分の絶叫が気持ちいいんですよね。

 

折坂さんは、色々な人とコラボもしているようで、

そういった動画もYouTubeで見られます。

 


『鳥』(折坂悠太 x 小田晃生)

 

 


折坂悠太 x 三輪二郎『オールドレインコート』

 

どちらも最高じゃあないですか?

これらを聴き終わったときには、私はもう

無意識に最新アルバムをAmazonでポチってましたね。

 

今はまだ周りに「折坂悠太が良い!」と言ってもぽかーんとされますが、

そのうち、誰もが知る存在になってくれたら嬉しいです。

 

 

【告知】「俺の!五行歌会!!」を開催します。

どうも、ひげっちです。

 

先月参加させていただいた、なべとびすこさん主催の「俺の!歌会!!」が

たいそう面白かったので、「これの五行歌バージョンがやってみたい!」と

なべとさんに聞いてみたところ、快諾していただけたので、

いっちょ「俺の!五行歌会!!」を開催してみようと思います。

 

 

「俺の!歌会!!」についてはこちらを。

短歌会初体験でしたが、凄く楽しめたんですよね。

nabelab00.hatenablog.com

 

nabelab00.hatenablog.com

 

どんな歌会なの?

 

 短歌と五行歌の違い以外は、基本丸パクリなので、

上記リンクを読めばルールがわかってしまいますが、一応説明します。

 

 

「俺の!五行歌会!!」は、

「人が詠んだ歌をまるで自分が詠んだ歌かのように紹介して、魅力を語る五行歌会」
です。

 

まず、全員が自分の五行歌をそれぞれ紙に書きます。

全員の五行歌を匿名で回収

シャッフルしてそれぞれ一首引く(自分の歌を引いたらもう一度シャッフル)


引いた歌を順番に「まるで自分が詠んだ歌かのように紹介して、魅力を語る」

最後に誰がどの歌の作者か答え合わせをする

 

・・・という流れです。

 

歌を紹介するときは、たとえば、「この歌はここの改行にこだわってみました」

「この言葉は漢字でもよかったんですが、あえてひらがなにしてみました」など、

あくまで「自分の五行歌」という設定で歌について発表してください。

 

発表を聞いた、ほかの参加者も「このフレーズが良いですね」のようなコメントや

「ここがわからない」「ここはどういう意味ですか?」などの質問を

どんどんしてください。

 

一見、ゲーム性強めのふざけた歌会に見えますが、

自分の歌として発表するからにはちゃんとその歌を詠み込まないといけなかったり、

いつもとは違う方向から「読む」力が鍛えられる上、

他の方が自分の歌をしっかりと詠み込んで魅力を語ってくれるという、

なかなか味わえない体験もできちゃいます。

 

参加要件

 

当日までに自分の五行歌を一首ご用意できる方。

 ※当日紙に書いていただくので、事前の提出は不要です。

 ※五行歌の経験・未経験は問いません。

 ※むしろ「五行歌初めてなんだけど・・・」っていう方に積極的に来て欲しいです。

 ※できれば未発表作品、もし無ければ既発表作品でもかまいません。

 ※後ほどブログやTwitterに載せたいと思っています。
  (公開したくない方はご相談ください)

 

開催要項

 

「俺の!五行歌会!!」

  • 日時:2019年3月17日(日)14時〜17時
  • 持ち物:自作五行歌一首(過去作OK)、筆記用具程度
  • 参加費:歌会 約1500円
    (会場費・ドリンク代。人数多ければキャッシュバック有り)
  • 定員:8名(先着)
  • 会場:新宿周辺(参加者には事前にお伝えします。)

  • 申込み方法
    Twitterアカウント(@hidgepaso)もしくは
    hidgepaso0713@gmail.com まで、

    参加希望の旨と、
    ①名前(フリガナ)
    を記載してご連絡ください。

 

以上、よろしくお願いします!

 

五行歌について(うたびと編・その1)

ひげっちは来月、生まれて初めて五行歌集というものを出します。

 

先日、出版社からゲラ原稿をいただき、

細かい修正点などを詰めている最中です。

 

出版の暁には、またこのブログでご報告をさせていただきますが、

5年間くらいまでには、まさか自分が本を出すことになるなんて、

思いもしませんでした。

 

「本を出そう」と思えたのも、実際に歌集を実現できたのも、

多くの人からの影響とご協力のお陰だと思っています。

 

今日は、私が大いに影響を受け、同時に大ファンでもある、

オススメの五行歌人5名をご紹介したいと思います。

 

 

草壁焔太先生

 

まずは、五行歌創始者であり、

五行歌の会」主宰の草壁焔太先生をご紹介させていただきます。

 

先生の略歴は、Wikipediaにも載っています。

ja.wikipedia.org

 

幸いなことに、最近では五行歌会や飲み会でも

ご一緒させていただく機会が増えました。

 

先生の歌について、私がどうのこうの言うのは大変おこがましいですが、

どの歌の根底にも、人間というものに対する信頼感が感じられるところが

たまらなく好きです。先生の作品にも悲しい歌や暗い歌があるのですが、

そうした歌にもどこかしら、ポジティブなエネルギーが込められているように

感じます。中でも好きな歌を一首ご紹介します。

 

人が
悲しい顔を
するような
真実が
真実であろうか
 
草壁焔太
『心の果て』より

 

先生は、五行歌集の他に、五行歌の入門書なども多数執筆されています。

 

www.amazon.co.jp

 

ご興味のある方は、どれから読んでも大丈夫だと思いますが、

個人的には、歌集なら『心の果て』から、

入門書なら『五行歌 誰の心にも名作がある 』から、

読むのがオススメです。

 

どちらも今では手に入りにくいのが難点ですが・・・。

 

読んでみたい方は、

近くの図書館で探してみるといいかもしれません。

下記のサイトがお役に立つと思います。

 

calil.jp

 

 

漂 彦龍さん

 

次に、私が五行歌を書き始めた直接のきっかけとなった方である、

漂 彦龍さんをご紹介します。

 

よく、「どうして五行歌を始めようと思ったの?」という質問をされますが、

私が五行歌を始めたのには、二つのきっかけがあります。

 

ひとつには、私の母(筆名:紫かたばみ)が、

11年ほど前から五行歌を始めており、

身の回りに五行歌集や五行歌会のプリント等がある環境にいて、

昔から文章を書いたり読んだりするのが好きだったこともあり、

自然と五行歌に親しみ、読者として五行歌に触れていたということ。

 

ふたつめのきっかけが、漂 彦龍さん(当時の筆名:蛇夢さん)の五行歌集、

『上映禁止』を読んだことです。

 

五行歌集 上映禁止

五行歌集 上映禁止

 

 

中でも、痺れたのはこの一首。

 

言葉が

まっすぐ

届かないのは

地球のカーブの

せいにしておく

 

蛇夢

『上映禁止』より

 

それまで、母親に見せてもらっていた五行歌は、

わりと母親と同年代の方が身の回りの生活のことを題材に書いた歌が多く、

もちろん「良いな」と思う歌もたくさんありましたが、

「自分でも五行歌を書いてみたい」と思わせるほどの刺激はありませんでした。

 

その点、漂 彦龍さんの歌は、風刺や皮肉に溢れ、ナナメから社会を見ている

感じがすごく心に響いたのと、その背景に滲む表現全般に対する造詣の深さや、

一字一句に神経が行き届いた言葉選びとその並べ方に圧倒されました。

それでいて、ユーモアのある歌や恋歌にも魅力的な歌が多く、

読み終えて、「すごい!こんな面白い歌を書く人がいるのか!」と

一人で興奮したのを覚えています。

 

私は今でも自分の作歌に煮詰まったら、

『上映禁止』を読み直します。

自分の中では、漂 彦龍さんの歌集は、

五行歌の教科書のようなものかもしれません。

勝手に心の中で「師匠」と呼んでます。

 

 

飯島治雄さん

 

次に、80歳を過ぎてから五行歌を始められた

飯島治雄さんをご紹介します。

 

飯島さんは、2013年に89歳で亡くなられており、

生前も直接お目にかかったことはありません。

 

2016年ごろ、はじめて五行歌集『背中押さないでよ』を読み、

雷に打たれたように感動しました。

 

背中押さないでよ―飯島治雄五行歌集

背中押さないでよ―飯島治雄五行歌集

 

 

ご自分の「老い」や「死」と正面から向き合い続け、

それを飾らない平易な言葉で表現されています。

歌集全体から実直で控え目なお人柄が伝わり、

読んでいて何度も泣きそうになったくらいです。

 

ご存命の間に、一度でいいからお目にかかりたかったです。

もっと早く五行歌を始めていれば・・・と、

そう思わずにはいられないです。

 

ありがとうございましたと

普段着の

言葉で

逝ける人に

なりたい

 

飯島治雄

『背中押さないでよ』より

 

 

水源 純さん

 

続いては、私が定期的に参加しているAQ五行歌会

いつもお世話になっている水源 純さんをご紹介します。

 

ご本人曰く、自称「五行歌沼のヌシ」。

どことなく透明感のようなものを感じさせる、

やわらかで、しなやかな文体に惹かれます。

個人的な想いを「みんなのうた」へと昇華させることができる

稀有な感性の持ち主だと思います。

 

大きな駅の

灯りも消えて

眠らぬ街へ

君と

夜を壊しにゆく

 

水源 純

『ほんとう』より

 

水源 純さんは今まで、

『この鳩尾へ』『ほんとう』『しかくいボール』と

3冊の五行歌集を上梓されています。

それぞれ特徴が違うので、読み比べてみるのもオススメです。

 

 

この鳩尾へ

この鳩尾へ

 

 

 

ほんとう

ほんとう

 

 

 

しかくいボール: 子どものことばは道しるべ

しかくいボール: 子どものことばは道しるべ

 

 

 

水源カエデさん

 

最後に、水源 純さんのご子息で、

まだ10代である水源カエデさんをご紹介します。

 

水源カエデさんのお母様が純さん、

純さんのお母様も五行歌人、そのお父様も五行歌を書いていたそうですから、

カエデさんは五行歌サラブレッドと言ってもいいでしょう。

 

カエデさんは、一昨年に初の五行歌集である『一ヶ月反抗期』を上梓されました。

 

一ヶ月反抗期: 14歳の五行歌集 (そらまめ文庫)

一ヶ月反抗期: 14歳の五行歌集 (そらまめ文庫)

 

 

この歌集は、私にとっても大きな刺激になりました。

当時まだ14歳の少年がこれだけ良い歌集が作れるということに

素直に感動しました。カエデさんは6歳のころから、純さんによる

聞き書き」で五行歌を作ってきたので、キャリアとしては

私よりはるかに先輩ということになります。

 

『一ヶ月反抗期』には子供らしい無邪気な歌から、

思春期の葛藤を感じさせる歌、大人をドキッとさせる歌まで、

幅広い作品が収められています。

幼少期の歌から思春期の歌まで、一貫しているのは、

作為や衒いが無いということ。

自分の気持ちに対して正直で、表現に嘘が無いゆえに、

際どいことが書かれた歌でも、不思議な清々しさを感じてしまいます。

 

人はおはようから

はじまって

おやすみで

終わる

これを死ぬまでずっと

 

水源カエデ

『一ヶ月反抗期』より

 

間違いなく、五行歌の未来を担う存在の一人だと思いますし、

彼がこれからどんな歌を書いてゆくのかが、楽しみでしょうがないです。

 

以上、5名のうたびとをご紹介させていただきました。

他にもご紹介したいうたびとはいっぱいいますので、

また続編を書くと思います。

平成31年 新春ごいた大会に参加してきました

1月19日(土)に、石川県能登町で行われた
平成31年 新春ごいた大会」に参加してきました。

 

今日はその時のことを書こうと思います。

 

大会に出場するまで



能登では隔月の奇数月に大会が行われています(年6回)。
私が出場したのは、今年最初の能登での大会である、
新春ごいた大会です。

 

まずは、大会出場に至った経緯から。 

ごいたを本格的に始めてからまだ2年足らずの若輩者ですが、
ご縁があって、昨年、能登ごいた保存会神奈川支部へ加入させていただきました。

 

これがきっかけで、第1回横浜ごいた大会の運営に携わるとともに、
大会にも出場し、ごいた関係の知り合いが飛躍的に増えました。

 

そこで知り合ったごいた仲間から口々に聞かされたのが
以下のような言葉です。

 

「ごいたが強くなりたいなら能登に行くべき」

能登マジ半端ない」

「特に1月の能登寒ブリ祭りと併せてガチすぎてヤバい」

 

はじめは、「能登行きたいけど遠いなあ」「ブリ好きだけど冬は寒そうだなあ」
とか思ってた私ですが、ごいた界隈の人のTwitterが2ヶ月に一回、
大会の話題で盛り上がったり、能登グルメ自慢大会状態になっているのを見て、
シンプルに羨ましくなって、大会出場を決めました。

 

「ごいたへの真剣な気持ち」 と 「寒ブリ食べたい」 が
割合的には5:5ぐらいだったと思います。

 

 

空港にて

 

そんなわけで、1月19日(土)、ワクワクしすぎて朝4時に目が覚めるという、
遠足前の小学生みたいなテンションで羽田空港に向かいました。
早く起きたせいで、集合時間の1時間前くらいに空港に着いてしまいました。

するとそこには、すでに今回の旅行を共にする、ごいた仲間の方々が。
着いて早々、「ひげっちさん、打つ?」と聞かれました。
ごいたは小さい駒を使うゲームなので、極端な話、
テーブルと駒と人間が四人いれば、どこでもできてしまうのです。

行き交う人の目が若干気になりましたが、私ももはや立派なごいた中毒者なので、
喜んでお誘いに乗り、空港ごいたを満喫しました。

持て余してしまいがちな出発までの待ち時間も、
ごいたのおかげであっという間に感じました。

 

まずは聖地巡礼

 

羽田から一時間くらいで、のと里山空港へ到着。

空港には宿のマイクロバスがお迎えに来てくれていました。

まずは、去年出来たばかりの「ごいたモニュメント」へ。

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ごいたモニュメント

巷の噂では、このモニュメントに触ると、
「ごいた士」にクラスチェンジできるとのこと。 

早速みんなでペタペタ触り、記念撮影しました。

 

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モニュメントの文章

 

モニュメントには、ごいたについての模範的な説明文が書いてありました。

 

モニュメントの近くには、 ごいた関係の資料の閲覧や、ごいたを打てる
「ごいたの館」がありました。

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ごいたの館

中には、ごいた関連の書籍や、ごいた打ちの番付表、駒・ごい牌・マグネットごいたなどの見本が置いてあり、興味深く拝見しました。

この後は、宿である能登うしつ荘へ。
「いしり貝焼き定食」なるものをいただきました。
いしるという魚醤を使って味付けした貝焼きで、美味しかったです。

 

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いしり貝焼き定食

 

いざ、決戦

 

腹拵えのあとは大会会場である、コンセールのとへ。

いよいよ本場の大会に出場するんだ、という緊張感が高まってきました。

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会場の様子

大会の開始前に、能登ごいた保存会の会長より、ご挨拶が。
大会参加者は去年から倍近くに増えたとのこと。
ごいた&寒ブリのパワー、恐るべし。

 

大会は、毎回ペアを替えて、全部で6戦行う個人戦
以下、各試合毎に簡単な振り返りを。

1回戦:6しや王玉が入りまくる馬鹿ヅキでよく分からんうちに勝利。ミスもあり。

2回戦:序盤リードされ、後半巻き返すも僅差で負け。

3回戦:1回戦と同じ人のペア。今度はその方がツイてて勝利。

4回戦:細かいミスだらけで、運にも見放されて大差で負け。

5回戦:とにかく手が入らない。あっさりと負け。

6回戦:本場の強い人とのペア。上手にリードしてもらって勝利。


結果、3勝3敗でした。 

能登のベテランの方と打つのは、緊張するけど楽しかった!
欲を言えば、もっと上位に行きたかったけど、今の自分の実力では
妥当な結果だったのかと思います。

 

ごいた打ちの夜は長い

 

大会終了後は、うしつ荘で新年会兼懇親会。

お料理どれも美味しかったけど、スマホを部屋で充電してたので、
写真を撮り忘れました。

お腹を満たして、お風呂に入った後は、有志が集まって
プチごいた大会。

こちらは試合数の上限が無く、打てるだけ打って、
勝利数を競うというレギュレーション。

我々のペアはゆっくり打った上に、調子が悪く、
6戦やって1勝5敗とふるわず。

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プチごいた大会の風景

大会終了後は、飲み明かしたり、さらにごいたしたり、
夜遅くまで起きてた人がいた模様。

そんな人達を横目に、夜更かしが苦手な私は早々に就寝。
おやすみなさい。 

 

おまけ・寒ブリ祭り

 

翌日はお待ちかねの寒ブリ祭り。
あいにくの雨でしたが、能登グルメを満喫しました。

 

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能登のお酒・竹葉

 

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めがらす(イカの口)焼き

 

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ぶり


満腹感と多幸感につつまれて、のと里山空港から羽田へ。

ご一緒した皆さん、能登の皆さん、ありがとうございました!

きっとまた行きます!