どうもひげっちです。
一月も残り僅かですが、本年もどうぞよろしくお願いします。関東新年合同歌会でご一緒した方々、ありがとうございました。関西新年合同歌会が今週末のようですね。
それでは、2025年1月号から、私の気に入った五首をご紹介します。
禅の教えは
こだわらないこと
落とし穴は
こだわらないことに
こだわること
リプル
16p.
禅については門外漢だが、おそらく禅の教えでは物事への行き過ぎた執着を戒めているのだろう。その一方で、決して物事に執着すること自体を否定しているわけではないのだと想像する。後半二行の表現が面白く、「こだわらないことにこだわらない」ためには一体どうすればいいのだろう、と途方に暮れてしまいそうだ。このお歌自体が禅問答のような趣きを感じさせ、味わい深いと感じた。
それ程
長生きもしたくないのに
何気に
濃い方の人参ジュースを
選ぶ自分がいる
長谷川明美
114p.
非常にリアリティを感じさせるお歌の内容だった。普段から特別に長寿や健康に拘りがあるわけではなくても、人参ジュースの濃さによる違いがあり、「濃い方が健康効果が高い」などと謳ってあると、ついついそちらを選んでしまう……ということなのだろう。三行目に「何気に」とある通り、これは大袈裟に言えば生存本能のようなもので、無意識にそういった選択をしてしまうように、我々がプログラムされているのかもしれない。そんなことを考えさせられた。
写真展示の
来場者投票
全員自分以外に
入れてくれる
自慢の友達
水源カエデ
121p.
写真展示に招待した複数の友達が、来場者投票で全員作者以外の写真に投票したということだろう。ざっくばらんでサバサバした関係性が感じられて微笑ましくなる。また、友達それぞれが気を遣ったり、忖度をしたりせずに自分の審美眼に基づいてお気に入りの写真に投票をしたという点も見逃せない。作者も五行目で「自慢の友達」と表現している通り、本当に仲が良く、気持ちの良い友達だということが想像できる。
椅子にちょこんと正座する
丸くなった母の背
もう少し
優しくしよう
後ろ姿にはそう思う
往く春のみどり
252p.
椅子に正座したお母様を後ろから見ている作者。その後ろ姿から何かを感じられて、お母様への接し方を優しくしようと思われている。このお歌で一番惹かれたのは五行目の「には」だ。この「には」により、前述の「優しくしよう」という決心はあくまで「お母様の後ろ姿を見た時のもの」に限定されている。逆説的に言えば、普段のお母様との関わりの中ではなかなか優しくあろうという感情が抱けないということだろう。自分に嘘を吐いていない、とても正直なお歌だと感じた。
抱えたもの
それぞれに
明るく集う
歌会の
けなげさを思う
高市範子
283p.
歌会にある程度の期間参加し続けている方なら、大いに共感を覚えるのではないだろうか。参加者それぞれが、色々な困難や悩みを抱えながらも、何とか予定を調整し、同じ時間と場所を共有する。齢を重ねるに連れて、歌会という場のかけがえのなさというものを実感している。三行目の「明るく集う」という表現が大好きだ。五行歌の歌会はやさしくて、明るい。歌会という営みが、これからもずっと日本各地で続いてゆくことを願う。
(了)