どうもひげっちです。
すっかり寒くなり、今年も残すところあと僅かとなりました。
今年一年、五行歌の皆様には本当にお世話になりました。
おかげさまで楽しく充実した一年となりました。
どうぞよいお年をお迎えください。
それでは、2024年12月号から、私の気に入った五首をご紹介します。
窓という窓を
閉ざすことも
ある
やわらかいものを
守るため
南野薔子
47p.
このお歌における窓というものは単なる建具ではなく、外界や他者との接点の比喩のように感じられた。筆者も昔、心を閉ざしてひきこもりのような状態だったことがあるが、安全な場所で弱い自分を守り、力を蓄えるために必要な時間だったと今では思える。とても説得力のあるお歌だと思う。当月号の他の作者のお歌も「窓」をテーマにしたものであった。未読の方はぜひそちらも読んでみてほしい。
悪い土壌ならば
こんなにも
イロトリドリの感情を
咲かせることは
ないと思うのです
涼風
49p.
「土壌」が何のことかは明言されていないが、何となく五行歌界隈そのものを指しているように感じられた。むしろそうであってほしい、という希望的な読みかもしれない。先日の全国大会でも実感したが、全国各地で多種多様の五行歌人がまさに色とりどりなお歌を詠み続けている。語り掛けるような文体も魅力的で、読んでいて嬉しくなるお歌だった。
ごろん
寝返りうてば
目玉がおもい
ごろん
ごろん
芳川未朋
78p.
寝返りをうった時に眼球の重さを感じたという、リアルな身体感覚が感じられるお歌。「ごろん」のリフレインも面白い。一行目のごろんは寝返りをうった様子を表し、四、五行目のごろんは目玉が揺れている様を表しているのだと推測した。
痛み
悲しみ
病
生き抜く時は
涙に守られて
三咲 青
144p.
特集「東6棟 消化器外科」より。作者の入院・闘病生活を基に書かれた一連の作品の中でも冒頭のこのお歌に惹かれた。涙は弱気の象徴であるかのように言われることもあるが、自分を守ってくれているものと捉えられる作者の感性が素敵だと感じた。
「ウソはダメ」
なんてウソだ
みんな
だましだまし
生きてる
のぶし
148p.
どうしようもなく惹かれ、何度もうんうんと頷いてしまったお歌。生きてゆくことは本当にこの歌の通りだと感じる。みんなままならない現実とどうにか折り合いを付けて、他人なり自分なりを騙しながら、誤魔化しながら、生きているんだと思う。
(了)