ひげっちが好むものごと。

詩歌とボドゲを中心に書きたいことを書きます。

2020年自分的ベストコンテンツ

どうも、ひげっちです。

 

2020年もあとちょっとなので、

毎年恒例の自分的ベストコンテンツを書き記しておきます。

 

音楽・曲

トーチ/折坂悠太


折坂悠太 - トーチ (Official Music Video) / Yuta Orisaka - Torch

 新型コロナウイルス禍とは切っては切れない一年となった2020年のムードにどんぴしゃだった一曲。この曲はbutajiさんというシンガーソングライターとの共作であり、歌詞は2019年秋の台風19号被害から着想を得て書かれたものであるという。決して落ち込んだ気分を明るく元気づけてくれるような単純な歌ではないが、butajiさん独特の中毒性のあるメロディーラインと、折坂さんの書く温かみのある歌詞が相まって、とにかくこの曲に惚れ込んでしまい、一年を通して何度もリピートして聴いていた。カラオケでもよく歌った。

 

音楽・アルバム

極彩色の祝祭/ROTH BART BARON

極彩色の祝祭

極彩色の祝祭

  • アーティスト:ROTH BART BARON
  • 発売日: 2020/10/28
  • メディア: CD
 

  今年発見したアーティストで一番ハマったROTH BART BARON(ロットバルトバロン)の最新作。バンド名は知っている、くらいのスタンスでいたバンドだが、音楽評論家の柴 那典さんのツイートでこのアルバムのことを知り、聴いてみたのがきっかけでいっぺんに好きになってしまった。

 サブスクのおかげで旧譜もすべて聴くことができたが、2019年発表の前作『けものたちの名前』で、「もしもここを生き残れたら/僕の本当の名前をあげよう」(けもののなまえ)や「さよならまたいつか/会えるその時まで/いくつもドアをあけて/僕らまた出会おう」(春の嵐)といった、すでにコロナ禍を予言しているような歌詞があるのも興味深い。

 コロナ禍のもとで制作された本作は、明確にアフターコロナの時代に聴かれることを意識して作られている。「破壊された日常の向こう側」の道標となるような力強い作品だ。メロディーの美しさも特筆すべきだと思うが、詩歌を嗜んでいる身としては、やはり歌詞が気になった。三船雅也さんの書く歌詞は、何というか、嫉妬と羨望を禁じ得ない。「もし自分がロックバンドを組んでいたら、こういう歌詞を書きたいな」と思わされるような歌詞を実際に書いてらっしゃるからだ。ストレートなメッセージが響く歌もあれば、寓話的で空想を掻き立てる歌もある。そのどちらも、誠に勝手ながら、実に「波長が合う」感じがする。こういうバンドと同じ時代に生きることができて幸せだと思う。

 リリース直後から何度も聴き直しているが、聴く度に新しい発見があり、飽きない。ものすごく細部までこだわって作られているのが伝わってくるし、アルバム全体を通した一つの作品としてのまとまりが良い。アルバムを作るのに必要だったであろう、緻密な計算と、膨大なエネルギーと、表現者としての執念の凄まじさみたいなものも感じられ、軽く畏怖の念を覚えるほどだ。ぜひ未聴の方は体験して欲しい。

 

映画

パラサイト 半地下の家族/ポン・ジュノ監督

www.parasite-mv.jp

 コロナ禍のせいで映画館へ行く回数も減ってしまったので、今年は母数となる映画鑑賞作品の数が少ないが、その中で一本を選ぶとしたら、アカデミー賞作品賞にも輝いた本作だろう。元々、ポン・ジュノ監督は『殺人の追憶』ですごい!と思っていたが、本作はそれの数倍のインパクトがあった。

 現代社会への風刺を盛り込みつつ、先の読めないストーリー展開で、ジェットコースターに乗っているかのような視聴体験ができる。ある意味インド映画的な盛りだくさんな要素もあるが、物語の質感はやはり東アジア特有の湿っぽさがある。視聴者が何かを感じるまで、とにかくやれることを全部やったかのような脚本は、称賛に値すると思う。

 

来年もたくさんの大好きなものと出会えますように!

 

(了)